スーザン・ジョージの映画

金髪でクリクリお目々なイギリスの女優、スーザン・ジョージの話です。

同じようなタイプのゴールディ・ホーンが順調にキャリアを積み重ねていったのに対して、スーザンはマイナーな映画出演が多いため僕もあんまり見ていなかったりするのですが、彼女の黄金期の映画を何本か紹介したいと思います。

 

おませなツインキー Twinky

1969年公開 イギリス映画

監督 リチャード・ドナー

出演 スーザン・ジョージ / チャールズ・ブロンソン

 

ブロンソン演じる中年ポルノ小説家と女子高生のラブストーリー。

リチャード・ドナーはたぶんこれが初監督作品。アクション映画の巨匠にもこんな時代があったんですね。ブロンソンはすでに大スターでしたが、こういう映画の出演は珍しいです。スーザンは撮影時には18歳くらいでしょうか。

自転車に乗った女子高生たちの登校風景に、ポップなテーマソングが流れるオープニングが可愛らしいです。制服はミニスカだし、トーストくわえて登校する子がいたりと、なんだか日本のアニメを彷彿とさせます。

とにかく、ただひたすらにスーザンが可愛い。ブロンソンを無邪気に翻弄する姿にはほっこりしてしまいます。ベッドに寝ているブロンソンめがけて、スローモーションでダイブするショットなど素晴らしいです。

 

恐怖の子守歌 Fright

1971年公開 イギリス映画

監督 ピーター・コリンソン

出演 スーザン・ジョージ / イアン・バネン

ベビーシッターとして雇われた少女が、主が不在の家の中で、精神病院を脱走してきた異常者に襲われるサスペンス映画です。

スーザンの絶叫と、最初は紳士的に登場した異常者がノーマン・ベイツ的に本性を現していくところが見所でしょうか。傑作とは言い難いですが、スーザンファンにとっては重要な作品です。何と言っても、この映画の演技のおかげで「わらの犬」のオファーが来たんですから。

泣き叫ぶスーザンの演技は素晴らしいです。良くも悪くも、これでこの後の出演作の傾向が決まったと言ってもいいでしょう。ドラマやファミリー向けより、一癖も二癖もある作品への出演が続くことになります。

ミニスカのベビーシッターなんているのかよ、という違和感もありますが、それはスーザンのトレードマークのようなものなのかもしれない。当時のイギリスではアイドル的な存在だったのでしょう。

 

わらの犬 Straw Dogs

1971年公開 アメリカ映画

監督 サム・ペキンパー

出演 ダスティン・ホフマン / スーザン・ジョージ

平穏な生活を求めて都市から田舎に引っ越してきた数学者の夫婦が、田舎特有の暴力に巻き込まれていくバイオレンス映画です。

ペキンパーの最高傑作にして、バイオレンス映画の金字塔。気弱な数学者と田舎の住人たちとのいざこざが、凄惨な殺し合いに発展する様がリアリティをもって描かれます。スーザンは主人公の妻役。この映画と共に、スーザン・ジョージの名はいつまでも残り続けることでしょう。

ペキンパー×アイドル女優の異色のコラボ。可愛らしい顔立ちながら、溢れ出る色気で男たちの内なる獣性を呼び覚ましていきます。この配役には誰も文句はないでしょう。そりゃこんな子がいたら男は殺し合いしますって。

あまり女性を魅力的に描かないペキンパーですが、この映画のスーザンは強烈な印象を残します。男たちの目を釘付けにするパンチラや、中盤の長いレイプシーンは、目に焼き付いて離れません。

 

ダーティ・メリー / クレイジー・ラリー Dirty Mary, Crazy Larry

1974年公開 アメリカ映画

監督 ジョン・ハフ

出演 ピーター・フォンダ / スーザン・ジョージ

強盗三人組と警察の追跡劇を描いたカーアクション映画。

全編ほとんどカーアクションです。猛スピードで逃げる車と、追跡する数十台のパトカーが次々とクラッシュしていく様は爽快。逃げるダッジ・チャージャーを運転するピーター・フォンダは、スタントマンなしだそうです。唐突なラストも衝撃。カメラワークや追跡の仕方など、後の「マッドマックス」に多大な影響を与えています。

スーザンは三人組の一人で、頭の弱いアメリカ娘。ステレオタイプすぎてあんまり魅力がありません。彼女はちょっと顔が暗いので、こういう役は向いてないのかもしれない。

映画は世界中で大ヒットしたらしいですが、スーザンはギャラを歩合制にしなかったばっかりに儲け損ねたらしいです。

 

マンディンゴ Mandingo

1975年公開 アメリカ映画

監督 リチャード・フライシャー

出演 ジェームズ・メイソン / スーザン・ジョージ / ペリー・キング

南北戦争以前のアメリカ南部にあった奴隷牧場を描いた大作です。非常に見応えのある映画ですが、アメリカの批評家からは総スカンを食らい、最低映画のレッテルを貼られてしまいました。黒人奴隷に対する暴力はもちろんの事、当時あたり前にあった女性蔑視や近親相姦、嬰児殺しなどの露悪的な描写が相当な反発を招いたようですね。

ペリー・キング演じる主人公の男が、奴隷に理解があり思いやりのある好青年として設定されているのも皮肉です。どんなに善人であろうとも、その時代の常識から自由であるはずもなく、何の罪の意識もなくレイプや殺人に手を染めていきます。怖いですねえ。 

スーザンは主人公の新妻。当時の女性の初婚年齢から考えると、たぶん年齢設定は16歳くらいなのではないかと思うのですが、ちょっと無理があるかも。可愛いですけどね。

新婚初夜に処女ではなかったことがバレてしまい、夫から冷たくあしらわれるようになってしまいます。独り寝の寂しさを紛らわすためにアルコールに溺れていくのですが、この辺からがスーザンの真骨頂。怯え、泣き叫ぶ演技はやっぱり魅せます。狂気に取り付かれたスーザンがトリガーとなり、物語は壮絶なバイオレンスへと突入していきます。これぞスーザン・ジョージという素晴らしいキャラクターです。

 

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